相続登記を自分でする方法

確定申告書の作成

相続した不動産を売却して利益が出た場合、その所得に応じた納税をしなといけません。不動産譲渡益の納税は所得税と住民税から構成されます。そのうち所得税は、納税額が記された振込用紙が届くのではなく、自分で確定申告をして納める必要があります。住民税は確定申告の翌年度の住民税に合算して請求されます。つまりサラリーマンの方は給与天引きされます。

不動産の譲渡所得とは自分自身の儲けではなく、その不動産が産み出した儲けです。つまり先祖がその不動産を購入し、自分が売却することでどれだけ利益があったかに対して課税されます。また、不動産譲渡所得税は、給与所得などの「総合課税」とは異なり、単独で税率を計算する「分離課税」となります。

ん?どういうこと?と思いますが、下記手順で確定申告をすれば大丈夫です。

確定申告書の作成

確定申告書は国税庁のホームページで作成できるようになっています。さらにマイナンバーカードとICカードリーダー機能のあるスマートフォンがあれば、スマートフォンで申告が完了します。昔と違って税務署に申告に出向く必要はありません。
そういう面の利便性は高くなっていますが、申告書の作成サイトはパソコン用にデザインされたものでスマホだと画面表示が小さくなります。それで画面を拡大すると今度は全体像が分からなくなるという、決して使いやすい構成ではありませんでした(2021年現在)。入力画面の改善を期待しますがそれをすると税金が投入されることになるので微妙ではあります。

さて、確定申告書の作成は画面の指示に従っていけばできるようになっていますので、ここでは大雑把な注意点のみ記載します。

確定申告書の作成の注意点

不動産譲渡所得の申告は分離課税

入力画面上段の「総合課税」の中の「不動産所得」ではありません。「不動産所得」は家賃収入のことです。そこではなく、画面をスクロールさせて「分離課税」にある「土地建物等の譲渡所得」の「入力する」を選択します
すると「計算結果入力」と「内訳書作成」という選択肢が出てきます。おそらくほとんどの方が「内訳書作成」だと思います。

適用する特例の選択

「内訳書作成」に進むと「被相続人の居住していた土地建物等を譲渡(売却)し、利益があった方」など各種特例の選択画面が出てきます。いずれかを選択するとチュートリアル形式でその特例が適用可能かどうか確認ができます。
事前に調べて適用できないとわかっていたのですがやっぱり駄目でした。

必要書類は手元に

指示に従い先に進むと、土地・建物の内容、売却額、必要経費などの入力画面に進みます。売買契約書や仲介手数料の領収書などの書面を手元に用意しておきましょう。

取得費がわからない場合

譲渡所得の課税は利益に対して行われるので、売却額から取得費を差し引いて利益を計算しないといけません。昔のことで購入金額がわからない場合は売却額の5%を取得費として算定できるということは「譲渡所得税」で書いた通りです。今回は土地の権利書があったので取得費はわかったのですが、5%よりも少ない額だったので5%での算定としました。ちなみに権利書には「売渡代金壱万円也」と書かれていました。昭和29年のことなのですがにわかには信じがたい額です。

さて、取得費のうち、建物部分については償却費相当額を差し引いて計算するとあります。権利書には土地・建物合わせた価格しか書かれていないので、どうやって取得費を土地と建物とに分ければいいのかわかりません。ここが最後までどうすればいいかわからない部分でした。調べると土地代と建物代を分けるにはいくつか方式があるようですが、この確定申告書を入力していくとその答えがわかりました。5%で算定する場合は、償却は関係ありませんでした。昔の建物なので償却済みという考え方になるのだと思います。単純に売却額の5%を取得費として計上するだけでOKです。「取得費を5%に相当する額で計算する。」にチェックを入れると自動で計算してくれます。

総合課税も入力必要

「土地建物等の譲渡所得」をすべて入力終えると自動的に税額が計算されます。
あれっ?思ってたより少ないぞ?! ラッキーと思うものの気持ちが悪いです。

入力内容を見直すと、総合課税のところに自動的に基礎控除が480,000円計上されています。この相続は妻のものですが、妻はパートで給与所得があり、年末調整で基礎控除は使っているはずです。いいのかな~と思って調べると、やはりいいわけはなく、基礎控除は総合課税と分離課税の合算に対して適用されることがわかりました。
じゃあ給与所得がある人はどうすればいいかというと、源泉徴収票に書かれている内容を確定申告のフォームの総合課税の各項目入力する必要があります。そうすると、年末調整分と合算して計算されます。

源泉徴収票の内容を転記して再計算をすると、やはりもともと試算していた金額とほぼ同じになりました。ということでぬか喜びでしたが、あとで指摘されて追徴されることにならずに済んで良かったと思います。